岐阜のモノ

岐阜市やその周辺地域では、戦前から繊維産業が盛んです。戦後は原糸、撚糸、織物、ニット、染色、アパレル企画、デザイン、縫製など一貫した技術が揃った産地を形成していたため、アパレル産業が発展しました。近年では生産だけではなく展示会などの積極的な取り組みが実施されています。

昭和17年に岐阜市内の化学会社が電気部品を製造したことが、岐阜県におけるプラスチック加工の始まりと言われています。
現在では、工業部品、自動車部品、建設資材など、幅広く製造されています。また、そのような製品の生産技術を用いて、インテリア雑貨やキッチン用品等の日用品分野にも用途が拡大しています。

東濃西部地域(多治見市・土岐市・瑞浪市)一帯は、焼き物に適した良質な陶土に恵まれています。岐阜県の美濃地方の焼き物の歴史は、窯を築いて焼かれた7世紀の「須恵器」から始まり、世界に誇る「桃山古陶」を作り出した桃山時代に茶の湯と共に発展し、現代では「美濃焼」として親しまれています。

岐阜県は陶磁器の和洋食器やタイルの出荷額で、長年、全国トップのシェアを占めています。
1300年以上の歴史があるといわれる美濃和紙は、紙の原料となる良質な楮(こうぞ)が多く採れ、また長良川や板取川といった清流に恵まれたことから、美濃市を産地として発展してきました。

繊細できめ細やかな風合いのある美濃和紙は、海外でも高い人気を誇っています。また、外国人デザイナーによる商品開発など、伝統を重んじつつも、絶えず日常への新たな和紙の使い方を提案しています。
長い歴史に培われた技術の粋が集められた「本美濃紙(ほんみのし)」は、2014年11月、「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。

良質な炭や水、焼刃土(やきばつち)が確保できる関市は、室町時代には孫六兼元、和泉守兼定らの有名な刀匠を生み、刀の一大産地として栄えました。優れた実用性と意匠を凝らした芸術を兼ね備えた関の刀は、多くの武将から愛されました。
明治維新後の廃刀令により、製品の大半が家庭用刃物に切り変わり、その技術は現在でも包丁、カミソリ、ハサミ、ポケットナイフなどの高品質な製品づくりに活かされており、国内のみならず、世界各国へ輸出されています。

岐阜県は、県土の8割以上を山林が占め、豊富な森林資源に恵まれており、「東濃ひのき」や「飛騨のナラ材」などを用いた家具や民芸品、生活雑貨まで、多岐にわたる製品が生まれてきました。
古くは平城京や平安京の造都にも携わった「飛騨の匠」に代表される高度な木工技術は今日まで受け継がれており、椅子やテーブル等の飛騨の家具の製造に活かされています。

岐阜県は日本のほぼ中央に位置し、東西の文化が混在していることや、「飛山濃水」と称されるように比較的平地が多い美濃地方と3000m級の山々を有する飛騨地方に分かれていることから、その気候風土、得られる食材やそれに基づく食文化などが地域によって大きく異なっています。このような各地域の特徴的な食材や食文化により多様な加工食品が生まれてきました。また、県内各地を流れる豊かな清流の恩恵を受けた酒造りも盛んであり、県下には50を超える酒蔵があります。